2021.12.20
一般の住宅等、小規模な建物に用いられる木造と比べ、耐用年数が長く強度もあり頑丈な鉄骨造の建物。
オーナーである皆様がお持ちの不動産も鉄骨造が多いのではないでしょうか。
そんな鉄骨造のビルは改修の自由度も高く、実にリノベーション向きです。
今回は、鉄骨造のビル再生リノベーションについての、ポイントや注意点などをご紹介したいと思います。
~鉄骨造って?~
建物の構造(骨組部分)が鉄骨で建てられている建物が「鉄骨造」です。
戸建ての住宅等の多くは「木造」住宅で、建物の柱や梁となる部分に木材が使われていますが、3、4階建てのビル等は強度や耐震性がより必要となるため、構造部分には木材ではなく強度の高い鉄骨が用いられます。
鉄骨造も、鉄骨の厚みによって「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類に分けられます。
■軽量鉄骨造
6ミリ未満の厚さの鉄骨を使用したもの
(主に、一部戸建て住宅やアパートなど)
■重量鉄骨造
厚さ6ミリ以上の鉄骨を使ったもの
(主に、ビル・マンションなど、規模の大きい建物など)
~鉄骨造ビルの寿命について~
鉄骨造の建物には「寿命」と言われる“法定耐用年数”(があります。
鉄骨の厚みによって年数に違いがあり、厚さが厚いほど長く、薄いほど短くなっていきます。
■ 厚み 3mm以下 →19年
■ 厚み 3mm~4mm →27年
■ 厚み 4mm以上 →34年
上記はあくまで“法定耐用年数”であり、この年数を経過したとたんに崩れたり、建物が使えなくなるわけではありません。
木材に比べ、初期の建築コストは高い傾向にありますが、完工後の耐用年数は木造よりも長く品質も安定しているため、適切なタイミングでしっかりと点検・メンテナンスを行うことで、長期間、多様な利用方法で活用していくことが可能なのが『鉄骨造』の最大のメリットですね。
鉄骨造ビルにおけるリノベーションをする上で、木造の一般住宅のリノベーションとの一番の違いといえば・・・??
“間取りの自由度の高さ”
です。
鉄骨造のビルは1つ1つの構造の部材強度が高いため、壁・柱を細かく立てる必要がなく、建物内部の壁・柱の数が木造建築に比べて圧倒的に少ないんです。
「壁と柱が少ない」=室内空間を広く・大きく使うことができるため、天井(上階の床に当たる部分)を抜いて吹き抜けスペースを確保したり、何部屋かに分かれていたところの壁を取っ払って、広いワンルームのような仕様にすることもできます。
既存の都心の物件は、一部屋の面積が4.5畳や5畳などと部屋面積が狭い傾向にあり、部屋数は必要ないが、その分広々としたリビングがある家住みたいと思っている方は多数いらっしゃるはずです。
そしてもう1つ、
「鉄骨造ビルだからこそ」の、リノベーションとは??
“インダストリアルテイストに仕上げるリノベーション”
です。
インダストリアル(英語:industrial)には「工業、産業」といった意味があります。
内装デザインやインテリアのカテゴリーとしては、「倉庫」「工場」のようなイメージを指して使われており、「金属」「コンクリート」「ガラス」など、無機質な素材を使用し、武骨さを出して仕上げます。
あえて内壁を設けず、スケルトン状態にして、壁や天井部分の鉄骨、コンクリートを見せることで、鉄骨造本来の躯体・素材を活かしたインダストリアルテイストな雰囲気になるので、鉄骨造のビルのリノベーションにはとってもおすすめです。
また、玄関もコンクリート仕上げにすることで、タイルのように目地の汚れが気にならず、インダストリアルテイストによく馴染みます。
1階を“倉庫風”オフィスやイベントスペースにし、2階以上は賃貸住居用にリノベーション、など、鉄骨造の躯体を活かしながら、色々な使い方でお持ちのビルを再生してみませんか?
鉄骨造のビルを改修・リノベーションする際に気を付けなければならない重要なポイントがあります。
~鉄骨造の最大の敵、“鉄骨の錆び”を防ぐ~
定期的な屋上の防水塗装や外壁の点検・メンテナンスを行わずに長い年月が経ってしまうと、屋上塗装のヒビ割れや剥がれが起きたり、窓枠の隙間から建物内に雨水が入り込み、躯体部分の鉄骨が錆びて劣化してしまいます。
築古の鉄骨造ビルは鉄骨劣化が進んでいることが多く、リノベーションをするタイミングで現在の躯体状況を確認し、劣化した塗装部分の再塗装、窓・サッシの交換による雨漏り・結露対策、などを必要に応じて行う必要がありますが、これらの対策+リノベーションによって、ビルが生まれ変わり、更に長い年月、いろいろな使い道でビルを活用していくことができるようになります。
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