以前の賃貸物件は、万人受けするオーソドックスな内装が多かったのですが、現在は内装・インテリア共に、色々なテイストがあり、年代や性別、家族構成によっても好まれる雰囲気に違いがあります。

そして近年は、賃貸物件をリノベーションする際、入居者のターゲットを絞り、ターゲットに合ったリノベーションをして差別化するケースが増えています。

今回ご紹介するのは「女性向け」にターゲットを設定したリノベーションです。

女性の入居者は、物件を選ぶ際の条件が明確です。

主なものとしては

■「清潔」であること

■「安全」で防犯性が高いこと

安全については、“駅近”や“夜道の明るさ”など、物件の立地からはクリアできない部分もありますが、それでも建物自体の改修で工夫できる点は多くあります。

日本は安全な国と言われますが、一人で暮らす女性にとっては何かと心配ごとが多いものです。

条件があるからこそ、逆に条件を満たしている物件は物件候補に挙がる確率がぐっと上がり、選んでもらいやすくなります。

不安が解消されている物件にすることで空室解消に役立ち、そして物件価値の向上を図りましょう。

一人暮らしの女性にとってセキュリティ面がしっかりしていることはとても大事なポイントです。

・ドアスコープや郵便受けのないダブルロック式のドア

・モニター付きインターホン

に加え、

・ディンプルキーまたはカードキー

・防犯ガラス仕様の窓

・2階以上の階へもベランダシャッター取付

・防犯カメラ（共用部、エレベーター内など）

・オートロックのエントランス

・階段などの共用部の照明を多めに明るくする

などの工夫がされている建物は非常に評価が高いようです。

1DKなどの間取りだったとしても、洗面所などの水廻りはそれぞれ独立させ、キッチンもできればある程度スペースをしっかりと取り、使いやすさやデザイン性も考えながらリノベーションをしたい部分です。

■洗面

　シャワー付き洗面ドレッサー

■トイレ

　ウォシュレット、収納の確保

■バスルーム

　追い炊き機能付き

■キッチン

　2口以上のコンロ

■その他

　宅配ボックスなど

また、衣類や下着を外に干したくないという女性は非常に多くいらっしゃいます。

浴室乾燥機や室内干しができるようなユニット（写真参照）を取り付けると、部屋干しの問題が解消され、快適に生活できるようになります。

部屋に入った瞬間、うわぁっとテンションが上がるような素敵なお部屋であるかどうかが大切です。

清潔感、素材感、高級感がバランスよくデザインされていることがポイント。

白や柔らかいアイボリーのような明るい色を基調としながら、フローリングや建具に木目調の素材を使用し、その中にブラックのアイアン風や真鍮色の金具をポイントに使うとデザインにメリハリがつきます。

＜壁紙＞

最近人気のアクセントクロスはお部屋のイメージを一気にオシャレにしてくれます。

寝室やリビングの一画には少し落ち着いた色味・柄のものを選び、トイレや洗面所といった比較的狭い面積には大胆なデザインの壁紙を使用してもオシャレですので、場所によって壁紙で遊んでみるのも良いですね。

＜照明＞

一般的な賃貸物件は入居者が入居時に照明を持ち込むことが多いですが、場所によって照明までこだわってみると、内装デザインの完成度が格段にアップします。

＜床材＞

リノベーションの仕上がりに大きく関係する床材ですが、特長や予算を考えると迷うところです。

お手入れと管理の大変さを考えると、無垢材のフローリングは賃貸物件で取り入れるのはなかなか難しいかもしれませんが、合板のフローリング表面は天然木が貼られていて自然の木の風合いをしっかり感じることができ、かつ汚れにくさや湿度・温度変化に強く、機能性と見た目の良さを兼ね備えておススメです。

ではなぜ“女性専用”ではなく“女性向け”なのでしょうか？

それは、「必要以上に入居希望者をふるいにかけないこと」も空室解消には大切だからです。

「女性専用」であることを条件とする女性の入居者さまもいらっしゃいますが、もし同じエリアで広さ・家賃・設備などについて同じような条件の物件を探している男性がいた場合、「女性専用」物件には入居申し込みができません。

そうなると、せっかくの客付けの機会を逃すことになってしまいます。

あくまで「女性向け」のリノベーションとしましたが、女性が魅力的に感じる物件は、しっかりと物件を選びたい男性にも非常に魅力的です。

せっかく素敵にリノベーションした物件の客付け機会を逃してしまうのはとてももったいないです。

１件でも多く入居希望がもらえるよう、入居条件は狭くし過ぎず、付加価値の高い物件に仕上げれば結果的に空室解消につながりやすいのです。