リフォーム業界においても、「カーボンニュートラル」という温室効果ガスの排出量が全体としてゼロの状態を目指すことをベースとした政府方針に従って、省エネルギー住宅の普及を促進するための補助金制度が注目を集めています。

まずご紹介するのが、大家さんも補助を受けられる「長期優良住宅化リフォーム推進事業」です。

～長期優良住宅化リフォーム推進事業　とは？～

長期優良住宅化リフォーム推進事業というのは、国土交通省管轄の補助金制度です。

この補助金の目的は『良質な住宅をストックする』こととされています。

～概要～　

（国土交通省HPより抜粋　https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001151.html）

  １）対象事業

　以下の[1]、[2]を満たす戸建住宅又は共同住宅のリフォーム工事

　　[1]インスペクションを実施し、維持保全計画・履歴を作成すること

　　[2]工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されていること

　2）補助対象費用

　　・性能向上リフォーム工事に要する費用

　　・子育て世帯向け改修工事に要する費用

　　・インスペクション、維持保全計画・履歴作成に要する費用　等

　3）補助率・補助限度額

　　・補 助 率：補助対象費用の１／３

　　・補助限度額：原則 １００万円／戸

　4）受付期間

　　〇通年申請タイプ

　　　・事業者登録の受付期間:令和5年４月7日(金)～令和5年11月30日(木)

※今年度の評価基準型の交付申請は5月18日に締め切られています。　（認定長期優良住宅型の交付申請は継続しています。）

～対象の建物について～

・構造、建設時期についての条件はなし

・戸建、併用住宅、共同住宅が対象

・併用住宅は床面積の過半が住宅であることが必要。

・共同住宅は、共用部分も評価基準等を満たす必要がある

※過去に長期優良住宅（新築）認定、又は長期優良住宅（増改築）認定を取得している住宅、過去に本事業補助金の交付を受けている住宅は対象外です

住宅の規模は、タイプに応じてそれぞれ以下を満たす必要があります。

【評価基準型】共同住宅等：40㎡以上。ただし一つの階で40㎡以上(階段室除く)

【認定長期優良住宅型】共同住宅等：40㎡以上。ただし一つの階で40㎡以上(階段室除く)

～長期優良住宅化リフォーム事業補助金を利用する際はここに注意～

①長期優良住宅化リフォーム事業補助金の申請は、リフォーム工事の施工業者が行い、補助金も一旦施工業者へ交付されますので、交付後に大家さんへと補助金が還元される流れとなります。

②「インスペクション」の実施も必須

インスペクションとは、その物件の調査のことです。

物件（住宅）に日常生活に支障をきたすような劣化事象（床や壁の傾きや雨漏り、白アリの被害など）の有無があるかどうかを調査し、劣化事象が見つかった場合は、原則はリフォーム工事と併せて同時に補修を行いましょう。

もし同時に行わないのであれば、いつどのような形で対応をするのかを今回の申請において維持保全計画に明記する必要が出てきます。

※調査は、建築士である既存住宅状況調査技術者が行います。

※インスペクションの費用も補助対象です。

③その他の補助金との併用について

長期優良住宅化リフォーム事業は「国」が主体の補助金のため、他の国の補助金との併用はできないので注意が必要です。

※自治体の補助金との併用は可能なケースもあるため、念のため各自治体お問合せすることをおすすめします

大家さんが利用できるリフォームの補助金は他にもあります。

例えば、「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」。

こちらの事業は、既存住宅におけるエネルギー消費効率の改善と低酸素か促進のため、高性能建材を使った断熱改修工事に対する補助金事業です。

一定の省エネ効果の基準を満たした断熱材や窓など、高性能建材を取り入れた断熱リフォームが対象です。

また、「住宅セーフティネット」というものもあります。

住宅セーフティネット制度とは、所得の低い方や高齢者、被災者、障害者、子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な「住宅確保要配慮者」がしっかりと住宅に住めるようにすることを目的とした国の制度です。

住宅確保要配慮者が増加している一方で、公営住宅の数は足りていない現状があります。

このような状況の改善のため、増えつつある空き家や空室物件のリフォームを行い、住宅確保要配慮者へ住宅を提供するべく、この制度において住宅を提供するためのリフォームを行った大家さんに対し、国がその一部（上限あり）を補助するものです。

ただ、この制度を利用してリフォームを行った物件の大家さんは、住宅確保要配慮者の入居希望を拒否することはできません。

収入が不安定な方の家賃滞納リスクという問題を避けることができなくなりますので、住宅セーフティネット制度の利用は慎重に検討を進めて決定したいところです。