2022.06.22
東日本大震災をはじめ、熊本の大地震なども記憶に新しく、遠くない将来、南海トラフ地震も起こることが予測され、日本全国いつどこで大地震が起こってもおかしくない状況です。
そのような中、地震が起こる度に、「所有している物件が倒壊しないか」と心配しているオーナー様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、耐震基準とは何か?から、旧耐震基準/新耐震基準それぞれの注意点、そして耐震補強工事まで、オーナ様が気になる「地震対策」についてご紹介します。
建造物が地震の震動に耐えうる能力を表すため、建築基準法で決められた「旧耐震基準」と「新耐震基準」という2つの区分があります。
【旧耐震基準】
1981年5月31日までに建てられた建造物が該当。
・震度5程度の地震で崩壊・倒壊しないレベルの耐震性
※震度5を超える地震に対する規定は特になし
【新耐震基準】
1981年6月1日以降に設計されている建造物が該当。
・震度5程度の地震でほとんど損傷しないレベルの耐震性
・震度6強~7程度の地震で崩壊・倒壊しないレベルの耐震性
このように、更に強度を上げ、より厳しい耐震性が求められていることが分かります。
現在建っている建物は「新」「旧」両方の耐震基準のものが混在しており、旧耐震基準の建物は一部の条件を除き、耐震診断が義務付けられています。
■耐震診断が義務となる条件
以下2点に該当する建物は耐震診断が義務となります。
① 1981年6月1日以前に建築確認された建物
② 3階以上、かつ1,000㎡以上の物件
=2階建てや1,000㎡に満たない賃貸経住宅は耐震診断の義務はありません。
◆修繕義務
被災によって建物の一部が損壊した場合、オーナー様は建物の修繕を行う必要があります。
※民法により「賃貸人(建物オーナー)は賃貸物件(ビル・マンション・アパート等)の使用・収益に必要な修繕をなす義務を負う」と定められていることから
※建替えに近い大規模な修繕が必要だと判断された場合等の例外あり
◆土地工作物責任による損害賠償責任
土地の工作物の瑕疵によって入居者等に損害を与えた場合に、工作物の所有者・占有者(オーナー様)が負う賠償責任のことです。
オーナー様は所有する建物の安全性を確保する義務があり、地震等の予期せぬ災害が原因だったとしても、耐震性確保の不備等の瑕疵があったと認められた場合にその責任を問われることになりますので注意が必要です。
旧耐震基準の建物に比べ、新耐震基準をクリアしている建物は強度が高いと考えられますが、だからといって絶対に壊れない(安心)ことを保障されているわけではありません。
例として、以下のようなケースは注意が必要です。
・木造ビル
「ビル」と呼ばれる建物の多くは“鉄筋コンクリート造”になりますが、中には“木造”ビルも存在します。
木材は、コンクリート等に比べ劣化の速度が速い、また、シロアリ等の害虫被害による強度低下のリスクもあることから、鉄筋コンクリート造に比べると耐震性が低いといえます。
・壁や柱のヒビ割れ
建物は、躯体内部の支柱だけではなく、目に見えている壁も一体となって建物全体を支えています。
もし、壁や目に見える柱部分にひび割れが見られる場合、建物を支えているその部分への力のかかりかたが不均等であることが考えられます。
小さなヒビ割れであっても、地震の強い揺れにより一気に崩れ被害が大きくなる危険性もあり、注意が必要です。
・地盤
最後に、地震が起きた際の建物の安全性に深く関わるのが地盤です。
<液状化現象>
規模の大きいものとして、2011年に起きた東日本大震災では千葉県の一部などの埋め立て地に立てられた住宅街で大規模な液状化現象が発生し、道路の陥没・損壊と合わせ、多くの住宅で家全体が基礎から傾くような被害を受けました。
地震によって地盤が受ける影響は建物の倒壊・損壊に直結するため、「新耐震基準」であっても、地盤改良工事の検討が必要な地域もあり、気を付けなければなりません。
こちらでは、目次1でお伝えした、「耐震診断が義務となる条件」に当てはまる建物に必要な耐震補強について、耐震診断の流れ、そして耐震補強の種類についてご紹介したいと思います。
■耐震診断の流れ
1. 診断業者の選定・問い合わせ
2. 申し込み
3. 書類(図面、建築確認済証など)準備とヒアリング
4. 耐震診断 ※建物外部及び内部等における耐震診断の実施
5. 報告書の提出及び診断結果の報告、説明
~
6. 診断内容に応じた耐震補強工事
主に上記のような流れで耐震診断が実施され、耐震性を上げるための工事を行う流れとなります。
■耐震補強工事の種類
耐震補強工事は、大きく分けると4つの種類に分けることができます。
費用についても、あくまで目安となりますが参考になさってください。
・屋根の軽量化
地震とは一見するとあまり関係がないように思われる屋根ですが、木造アパートや低層の建物には昔ながらの瓦屋根が使われていることが多く、粘土(焼き物)やセメント・コンクリートでできている瓦は思った以上に重量があります。
地震の揺れで屋根瓦の重さに耐えきれず建物が倒壊してしまう可能性があるため、現在主流のストレート屋根やガルバリウム鋼板の屋根にすることで軽量化が図れ、建物への負担を軽くすることができます。
・壁の補強
部屋の壁の内側にもう一つの壁を作るイメージで、壁や天井に“補強壁”を設置するという補強方法があります。
工事中は工事中の部屋を開ける必要がありますが、基本的には在宅のまま工事が可能です。
・柱/梁などの建物芯部の補強
柱や梁に対して補強を行う場合は、基本的には大規模な改修として一度スケルトン状態にすることが必要です。
構造計算上、耐力が不足している部分には柱を増やし、劣化が確認された部分は柱の交換を行います。
また、既存の柱と梁の接合部分に金属製の補強金物を取り付けたり、揺れを緩和するためのサスペンションを設置する方法もあります。
壁の解体がどうしても難しい場合には、建物の外部(外壁)にXの形をした鉄筋をはめ込んで補強する方法もあります。
なお、新耐震基準の建物であったとしても、経年劣化による耐震性に不安がある場合は、借主様の安全性確保のために耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強工事をすることをおすすめします。
築古のビル・マンション・アパートのオーナー様には気になる耐震基準そして地震対策についていかがでしたでしょうか。
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